2024年度から第3期データヘルス計画がスタートし、すべての健康保険組合にPDCAサイクルに基づく保健事業の実施が求められています。しかし現場では、「計画は立てたが実行が追いつかない」「数値目標を設定したが、測定すらできていない」という声が少なくありません。
データヘルス計画の「計画」は厚労省のガイドラインに沿って書けます。問題は、その後の「実行・評価・改善」です。本記事では、健康保険組合がつまずきやすいポイントと、外部の専門家を活用すべき場面を整理します。
なぜデータヘルス計画は実行に移せないのか
1. 健診データを「読める人」がいない
多くの健保組合では、事務職の職員が中心です。レセプトデータや健診結果を集計することはできても、「有所見率が上がった原因」「どの層にどの介入が効くか」を医学的に解釈し、具体的な施策に落とし込むことは難しいのが実情です。
厚労省の手引きには「NDBオープンデータとの比較」「リスク層別化」といった分析手法が例示されていますが、統計処理や疫学の知識がなければ、形式的な集計に終わりがちです。
2. PDCAの「C」と「A」が回らない
計画(P)と実行(D)は年度ごとに動かせても、評価(C)と改善(A)には専門的な分析が必要です。「特定保健指導の実施率が目標に届かなかった」と記録することと、「なぜ届かなかったか」を分析して翌年度の施策を変えることは、まったく別の作業です。
結果として、毎年同じ施策を繰り返し、目標未達の理由欄に「引き続き取り組む」と書くことになります。
3. 事業主との「コラボヘルス」が表面的
第3期計画ではコラボヘルス——健保と事業主(企業)が連携して保健事業を推進すること——が重点項目です。しかし実際には、健保が計画を作り、企業の人事部に報告するだけで終わっているケースが多い。企業側の健康経営施策と健保の保健事業が別々に動いており、データも共有されていないことがあります。
外部専門家を活用すべき3つの場面
場面1:データ分析と課題の特定
健診データ・レセプトデータ・問診データを突き合わせ、自組合の健康課題を構造的に把握する段階です。具体的には以下の分析が求められます。
- 年齢・性別・事業所別の有所見率と経年推移
- 生活習慣病の重症化リスク層の特定
- 医療費の疾病別・診療行為別の構成分析
- 特定保健指導の対象者抽出と優先順位付け
医師であり、かつデータ分析のスキルを持つ外部専門家がこの段階に入ると、「数字の集計」から「医学的な意味づけと施策への接続」に質が変わります。
場面2:保健事業の効果測定
実施した保健事業が本当に効果があったかどうかを検証する段階です。たとえば、特定保健指導を受けた群と受けなかった群で、翌年の健診数値がどう変化したか。重症化予防プログラムの参加者と非参加者で、医療費にどれだけ差が出たか。
こうした分析には、交絡因子の調整や適切な比較対照の設定といった疫学的な手法が不可欠です。外部の専門家に委託することで、エビデンスに基づいた事業評価が可能になり、次年度の計画精度が上がります。
場面3:コラボヘルスの設計
健保と企業が「同じデータを見て、同じ目標に向かう」体制を作る段階です。たとえば、健保が持つ健診データと企業が持つ就業データ(残業時間、休職状況など)を統合分析し、組織としての健康課題を可視化する。
この場面では、医学・公衆衛生の知見と、企業の経営課題を橋渡しできる人材が求められます。産業医がこの役割を担えるケースもありますが、データ分析の実務まで含めると、専門の外部顧問を置く方が現実的です。
外部専門家を選ぶ際の留意点
- 医師免許とデータ分析の両方を備えているか:健診データの解釈には臨床知識が、効果測定には統計の知識が、それぞれ不可欠です
- 健保の実務を理解しているか:制度の仕組み(特定健診・保健指導の枠組み、レセプトの構造など)を知っていないと、提案が机上の空論になります
- 事業主側の視点も持っているか:コラボヘルスの推進には、健保だけでなく企業の健康経営を理解した上での提案が必要です
第3期データヘルス計画の中間評価に向けて
第3期データヘルス計画は2024〜2029年度の6年間です。2026年度は中間評価の時期にあたり、ここでPDCAが実質的に回っているかどうかが問われます。
現時点で「計画は作ったが、評価の方法が定まっていない」「加入者の行動変容につながる施策が見つかっていない」という組合は、今が外部の力を借りるタイミングです。中間評価の時点で軌道修正できれば、後半3年間の成果が大きく変わります。
まとめ
データヘルス計画を「提出する書類」ではなく「成果を出す仕組み」にするには、データ分析・効果測定・コラボヘルス設計のいずれかの段階で、外部の専門知見を入れることが有効です。すべてを組合内で完結させようとして手が回らなくなるよりも、専門家を活用して確実にPDCAを回す方が、結果として組合員の健康と医療費の適正化につながります。
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