ヨーグルトやサプリメントでビフィズス菌を摂っても、人によって効果が違うと感じたことはありませんか。その違いの正体に迫る大規模研究が、2026年にNature Communicationsで報告されました。本人の元々の腸内環境が、ビフィズス菌の定着しやすさを左右しているという、極めて実践的な知見です。
研究の概要
インド・タタ研究所などの研究チーム(Goswami氏ら)は、世界149コホートから集められた51,244人分の腸内細菌叢データを解析し、どのような腸内環境がビフィズス菌の定着を許すのかを網羅的に調べました。さらに研究チームは、個人の腸内細菌構成からビフィズス菌の定着しやすさを数値化する「Receptive Score(受容スコア)」という新しい指標を構築しています。
このスコアの実力は、別途集められた1,633人分のプロバイオティクス介入試験データで検証されました。その結果、ベースラインの細菌量とReceptive Scoreを組み合わせることで、8種類のビフィズス菌介入試験のうち69.23%のペアで、摂取後にその菌が定着・増加するか否かを有意に予測できることが示されました。
興味深いことに、ビフィズス菌のなかでも種類によって性格が大きく異なっていました。Bifidobacterium adolescentis(アドレセンティス菌)は、健康な成人の腸内に共存する有益な細菌群と最も強い正の相関を示した一方、乳児用プロバイオティクスとして知られるBifidobacterium breve(ブレーベ菌)は逆の傾向を示し、成人の健康関連菌群と負の相関がありました。同じ「ビフィズス菌」でも、定着の条件は別物だと考えるべきだということです。
日常生活への示唆
この研究が示すのは、プロバイオティクスは「飲めば誰にでも効く」ものではなく、自分の腸内環境とのマッチングが重要だという事実です。明日からできる実践として、まず食物繊維や発酵食品を意識的に摂り、ビフィズス菌が定着しやすい土壌を整えることが挙げられます。短鎖脂肪酸を産生する細菌が豊かな腸ほど、新しい菌を受け入れる能力が高いと考えられるからです。
次に、プロバイオティクスを試す際は、菌種を確認する習慣をつけることをおすすめします。成人ではB. adolescentisを含む製品が定着しやすい候補と言えますし、効果を感じない場合は別の菌種に切り替えてみる価値もあります。最後に、効果判定は1〜2週間ではなく、数週間単位の継続で評価することが大切です。腸内細菌の入れ替わりには時間がかかるためです。
「全員に効く万能プロバイオティクス」を探すのではなく、「自分に合う菌」を見つける時代に入りつつあると言えます。
出典
Goswami, S., Ansari, A., Saraf, C. et al. "Gut microbiome features associated with Bifidobacterium colonization predict personalized probiotic persistence patterns." Nature Communications (2026). DOI: 10.1038/s41467-026-72289-9 URL: https://www.nature.com/articles/s41467-026-72289-9
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