ダイエット後の「リバウンド」を腸内細菌で防ぐ

アッカーマンシア菌で体重維持を支援する臨床試験、Nature Medicineに掲載

調査レポート
ダイエット後の「リバウンド」を腸内細菌で防ぐ——アッカーマンシア菌で体重維持を支援する臨床試験、Nature Medicineに掲載

ダイエットに成功しても、その後の体重維持に苦しむ人は多いものです。GLP-1薬による減量が話題になる一方で、「やめた後にどう体重を保つか」は依然として大きな課題となっています。そうしたなか、腸内細菌の一種であるアッカーマンシア菌(Akkermansia muciniphila)の低温殺菌型サプリメントが、ダイエット後のリバウンド抑制に役立つ可能性を示した臨床試験の結果が、2026年5月19日にNature Medicineに掲載されました。

研究の概要

オランダのマーストリヒト大学医療センターを中心に、コペンハーゲン大学、ワーヘニンゲン大学などの国際チームが実施した二重盲検ランダム化比較試験です。過体重または肥満の成人90名を対象に、まず8週間の低エネルギー食で8%以上の減量を達成させたうえで、その後の24週間にわたり、低温殺菌したアッカーマンシア菌MucT株を毎日摂取する群と、プラセボ群とにランダムに割り付けました。維持期にはカロリー制限を課さず、サプリメント摂取のみによる差を検証しています。

主要評価項目である維持期の体重変化は、プラセボ群が平均3.2kgのリバウンドを示したのに対し、アッカーマンシア菌群では平均1.2kgにとどまり、統計学的に有意な差が認められています(P=0.012)。さらに維持期間中も体重が減り続けた参加者の割合は、プラセボ群が約5%だったのに対し、アッカーマンシア菌群では約40%にのぼりました。副次評価項目として、インスリン感受性の維持、脂肪組織における代謝経路の活性化、炎症および免疫シグナルの低下も観察されています。安全性については、低温殺菌アッカーマンシア菌に関連する副作用は報告されませんでした。

日常生活への示唆

アッカーマンシア菌は腸の粘膜層に住み、腸管バリア機能や代謝の調整に関わると考えられている細菌です。今回の結果は、「減量そのもの」ではなく「減量後の体重維持」という、これまで対策が乏しかった局面に腸内細菌アプローチが有用となる可能性を示している点が重要と言えます。

ただし、現時点では市販のアッカーマンシア菌サプリメントの品質や有効成分量にはばらつきがあり、本研究で用いられたのは厳密に管理された低温殺菌MucT株である点には注意が必要です。サプリメントに飛びつく前に、まずは食物繊維(特にオートミール、玉ねぎ、りんごなどに含まれる難消化性成分)を意識して摂ることで、自前のアッカーマンシア菌を育てる土壌を整えることが現実的な一歩と考えられます。減量後の維持期こそ、食事の質と腸内環境を意識することが、長期的な健康につながると言えるでしょう。

出典

論文: Pasteurized Akkermansia muciniphila MucT for weight loss maintenance in people with overweight and obesity: a controlled randomized trial 掲載誌: Nature Medicine(2026年5月19日掲載) DOI: 10.1038/s41591-026-04394-7 URL: https://www.nature.com/articles/s41591-026-04394-7

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