わずか10分の点滴で、うつ症状が3ヶ月続いて改善

アヤワスカ由来のDMT、Nature Medicineに第IIa相試験の結果

調査レポート
わずか10分の点滴で、うつ症状が3ヶ月続いて改善——アヤワスカ由来のDMT、Nature Medicineに第IIa相試験の結果

うつ病治療の世界では、サイケデリック療法に注目が集まっています。すでにシロシビン(マジックマッシュルームの主成分)の研究は進んでいますが、1回のセッションに6〜8時間を要するため、医療現場への実装にはハードルがありました。今回Nature Medicineに掲載された第IIa相試験では、はるかに作用時間の短いDMT(ジメチルトリプタミン)が、わずか10分の点滴で大うつ病性障害(MDD)の症状を有意に改善し、しかも効果が最長3ヶ月持続したことが報告されています。

試験の概要

英国Imperial College London等の研究チームは、中等度から重度のMDD成人を対象に、二重盲検・プラセボ対照ランダム化比較試験を実施しました。被験者は無作為に2群に分けられ、計34名(プラセボ群17名、実薬群17名)が登録されています。

介入は、SPL026(DMTフマル酸塩、21.5mg)またはプラセボを10分間で静脈内投与する方法であり、投与の前後には心理的サポートが組み合わされました。DMTは南米の伝統的飲料「アヤワスカ」の主要成分として知られるセロトニン作動性のサイケデリック薬であり、シロシビンと比べて作用持続時間が大幅に短いことが特徴です。

結果と安全性

主要評価項目である投与2週間後のうつ症状スコアでは、DMT群がプラセボ群に比べて有意に大きな低下を示しました(平均差マイナス7.35点、95%信頼区間マイナス13.62〜マイナス1.08、P=0.023)。続くオープンラベル期では、抗うつ効果が最長3ヶ月にわたり維持され、1回投与と2回投与のあいだに有意差は認められなかったと報告されています。

有害事象は注入部位の痛み、吐き気、一過性の不安などが中心で、いずれも軽度から中等度にとどまり、重篤な有害事象は報告されていません。

日常生活への示唆

本試験は34名と小規模であり、結果をそのまま臨床応用に拡大することはできません。ただし、1回10分という短時間の介入で長期間の抗うつ効果が得られる可能性は、治療抵抗性うつ病に悩む患者と医療従事者の双方にとって大きな意味を持つと考えられます。

読者の皆さまへの実践的な示唆として強調したいのは、サイケデリック療法はあくまで臨床試験下で心理的サポートと組み合わせて実施されている点です。インターネット上で流通する非合法なDMTを自己判断で使用することは、精神症状の悪化や事故につながる危険があり、決して推奨できません。気分の落ち込みが2週間以上続く場合は、まず精神科や心療内科を受診し、現在エビデンスが確立されている治療(薬物療法・認知行動療法など)について相談することをおすすめします。

新しい治療選択肢が研究段階で進んでいることを知っておくこと自体が、希望を持ち続ける手がかりになるはずです。

出典

Title: A short-acting psychedelic intervention for major depressive disorder: a phase IIa randomized placebo-controlled trial Journal: Nature Medicine(2026年) DOI: 10.1038/s41591-025-04154-z URL: https://www.nature.com/articles/s41591-025-04154-z

キバロクは予防医療×データの実装を支援します

こうした研究知見を、貴社の健康経営・健保事業・人間ドック施設の現場でどう使うか — 医師・医学博士×データサイエンティストが外部顧問として伴走します。まずは30分の無料相談から。

無料相談を予約する
調査レポート一覧に戻る