「お薬手帳」に書いていない市販薬が、処方薬と衝突する

78%の患者で記録と実際の服用が食い違う、ドイツ発の電子処方研究

調査レポート
「お薬手帳」に書いていない市販薬が、処方薬と衝突する——78%の患者で記録と実際の服用が食い違う、ドイツ発の電子処方研究

普段服用している風邪薬や鎮痛剤を、診察時にお医者さんへきちんと伝えているでしょうか。市販薬(OTC)やサプリメントは「処方薬ではないから関係ない」と見過ごされがちですが、処方薬と飲み合わせて思わぬ副作用を引き起こすことがあります。2026年4月にJMIR Research Protocolsへ掲載されたドイツの大規模研究は、見落とされやすい市販薬の情報をデジタルで「拾い直す」仕組みを検証しており、市販薬と処方薬の境界をどう扱うべきかを考えさせる内容となっています。

研究の概要

ドイツの研究チーム(Schmidtら)は、外来診療所と薬局を電子処方箋・診療報酬データ・服薬計画・臨床意思決定支援システム(CDSS)でつなぎ、処方薬だけでなく市販薬まで含めた薬剤情報を一元管理する仕組み「eRIKA」を構築しました。研究プロトコルが引用しているドイツの先行調査では、患者のカルテに記載されている薬剤と実際に服用している薬剤との間で食い違いが見られた割合は約78%にのぼり、その多くが市販薬や栄養補助食品に関するものだったと報告されています。研究では第1段階として187人(介入群74人、対照群113人)、本格運用となる第2段階では3,528人の患者を対象に、医師・薬剤師・患者の三者で電子的に情報を共有し、薬剤師主導の構造化された安全性チェックを組み合わせることで、重大な薬害イベント(入院など)を減らせるかを検証していくと述べられています。

日常生活への示唆

この研究が示しているのは、薬の安全性は処方薬だけを管理しても十分とは言えず、市販薬を含めて初めて成り立つということです。明日からできる工夫としては、次の3点が挙げられます。第一に、市販の鎮痛剤・胃薬・風邪薬・睡眠改善薬・サプリメント・漢方薬まで含めて「お薬手帳」に書き込んでおくことが大切です。第二に、受診時には「市販薬で○○を続けて飲んでいます」と必ず一言添えるようにしましょう。第三に、薬局でOTCを購入する際は、現在服用している処方薬を薬剤師へ伝え、飲み合わせを確認してもらうと安心です。市販で買えるかどうかと、自分にとって安全かどうかは別の問題であると言えます。記録の食い違いを埋めるのは、システムだけでなく患者自身の「ひと言」でもあるのです。

出典

Schmidt J, Lampe D, Poppe A, Meyer I, Söling S, Köberlein-Neu J, Grandt D, Düvel L, Greiner W, eRIKA Study Group. Enhancing Continuous Medication Safety Through e-Prescription and Clinical Decision Support Systems in Outpatient Practices and Pharmacies: Protocol for a Multiperspective Study (eRIKA Study). JMIR Research Protocols. 2026;15:e87277. DOI: 10.2196/87277 URL: https://www.researchprotocols.org/2026/1/e87277

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