プラントベース肉は赤肉より心臓にやさしい?――41人の「食べ比べ」試験が示した効果と、見落とせない注意点

大豆やえんどう豆から作られた「プラントベース肉」が、スーパーの棚に並ぶのが当たり前になりました。環境にやさしいとされる一

調査レポート
プラントベース肉は赤肉より心臓にやさしい?――41人の「食べ比べ」試験が示した効果と、見落とせない注意点

大豆やえんどう豆から作られた「プラントベース肉」が、スーパーの棚に並ぶのが当たり前になりました。環境にやさしいとされる一方で、「本当に体にも良いのか」という疑問はなかなか解けていません。今回、赤身肉とプラントベース肉を実際に食べ比べる臨床試験の結果が報告され、心臓の健康に関わる指標に明確な変化が見られました。ただし、良い面ばかりではない複雑な結果でもあり、健康を気にする方にとって示唆に富む内容です。

何を調べた研究なのか

イタリアの研究チームが実施したのは、FOOD-1という名前のランダム化クロスオーバー試験です。41人の成人が参加し、そのうち32%はすでに動脈硬化性の心血管疾患を持つ方でした。参加者の年齢の中央値は51歳、女性が46%を占めています。

試験では、まず半数がプラントベース肉を加えた食事を、残り半数が赤身肉を加えた食事をそれぞれ6日間続けました。その後、7日間の間隔をあけて食べる肉を入れ替え、同じ人が両方の食事を経験する形をとっています。同一人物で比較できるため、個人差の影響を受けにくい、信頼性の高いデザインと言えます。

主に注目されたのは、TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)という物質です。TMAOは赤身肉を多く食べると血液中で増える傾向があり、動脈硬化や心血管リスクの上昇と関連することが知られています。

わかったこと

赤身肉の食事と比べて、プラントベース肉の食事ではTMAOが有意に低下しました。その差はマイナス0.61ログ単位(95%信頼区間 マイナス0.90からマイナス0.33、P<0.001)で、統計的にはっきりした差です。悪玉とされるLDLコレステロールも、プラントベース肉の食事で6.0mg/dL低くなりました(95%信頼区間 マイナス10.0からマイナス1.9)。この2点だけを見れば、プラントベース肉は心臓にやさしい選択肢のように思えます。

しかし、結果はそう単純ではありませんでした。プラントベース肉の食事では体重がわずかに増加し(プラス0.6kg)、心臓への負担を示すマーカーであるNT-proBNPがむしろ上昇していたのです(プラス0.19ログ単位、95%信頼区間 プラス0.04からプラス0.35)。血圧には両者で有意な差はありませんでした。つまり、TMAOやLDLは改善する一方で、別の指標では必ずしも有利とは言えない側面も示されたことになります。

日常生活へのヒント

この研究から言えるのは、プラントベース肉を「赤身肉の完全な上位互換」と単純に考えるのは早いということです。TMAOやコレステロールの面ではメリットが期待できますが、加工されたプラントベース肉は塩分やエネルギーが高い製品も多く、体重や心臓への影響には注意が必要と考えられます。

現実的な向き合い方としては、赤身肉や加工肉を減らす手段の一つとしてプラントベース肉を取り入れつつ、豆類、ナッツ、全粒穀物、野菜といった「加工度の低い植物性食品」を土台に据えることが大切だと言えます。製品を選ぶ際は、裏面の栄養表示で塩分やカロリーを確認する習慣を持つとよいでしょう。プラントベースだから無条件に健康的、と考えるのではなく、全体の食事バランスの中で位置づける姿勢が求められます。

出典

論文タイトル: Processed plant-based meat-supplemented diet versus red meat-based supplemented diet randomized cross-over trial Finding Optimal Oral Diet-1 (FOOD-1) trial

掲載誌: Scientific Reports(2026年)

DOI: 10.1038/s41598-026-41165-3

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