プラントベースにしても「お菓子とジュース」次第

フィンランド22,901人の買い物データが映した、食の見直しの盲点

調査レポート
プラントベースにしても「お菓子とジュース」次第——フィンランド22,901人の買い物データが映した、食の見直しの盲点

肉から植物性の食品へ切り替えると、健康にも環境にも良いとよく言われます。ただ実際のスーパーでの買い物を細かく調べてみると、タンパク源を植物性に変えるだけでは見落とされてしまう部分があることが分かってきました。フィンランドの大規模な購買データ研究が、その盲点を具体的な数字で示しています。

22,901人のレシートから見えたもの

ヘルシンキ大学などの研究チームは、フィンランドの小売チェーンのポイントカード会員22,901人分の食品購入データを解析しました。買っている食品の傾向から、参加者を6つのグループに分けています。赤身肉が中心の人から、魚中心の人、植物性タンパク中心の人まで、現実に存在するさまざまな食のパターンです。植物性タンパク中心のグループは1,058人でした。

分析で注目されたのが、菓子・甘い焼き菓子・デザート・スナック菓子・砂糖・清涼飲料・ジュース・アルコール飲料といった「嗜好品(discretionary foods)」の存在です。これらは栄養面での必要性が低く、いわば楽しみのための食品にあたります。

研究によると、こうした嗜好品への支出は、植物性タンパク中心のグループでも食費全体の18%、赤身肉中心のグループでは24%を占めていました。さらに嗜好品は、食品購入による環境負荷全体の17〜32%を生み出していたと報告されています。タンパク源を植物性に変えても、お菓子や飲み物への出費と環境負荷はしっかり残っていたことになります。

植物性中心でも栄養には強みと弱みがある

栄養面でも興味深い違いが見られました。植物性タンパク中心のグループは、2,500キロカロリーあたりで食物繊維が34グラム、葉酸が347マイクログラムと、いずれも最も多く摂れていました。一方でビタミンB12は3.7マイクログラム、ビタミンDは6.3マイクログラムと最も少なく、これらが不足しやすい傾向が示されています。タンパク質量自体は全グループで83〜104グラムの範囲におさまり、推奨量を満たしていました。

なお、赤身肉から植物性タンパクへ移行すると、環境負荷は最大28%減る可能性が示されています。方向性としては、植物性へのシフトが環境にプラスに働くことは確かなようです。

明日からできること

この研究が教えてくれるのは、「植物性に変えれば安心」という単純な話ではないという点です。植物性タンパクを選びつつ、お菓子や甘い飲み物といった嗜好品を少し見直すことで、健康面でも環境面でも、そして家計の面でもより大きな効果が期待できると考えられます。

具体的には、清涼飲料やジュースを水やお茶に置き換える、間食のスナック菓子や甘いお菓子の頻度を下げる、といった工夫が現実的です。あわせて、植物性中心の食生活で不足しやすいビタミンB12やビタミンDについては、卵や乳製品、青魚、きのこ類などを意識的に取り入れるか、必要に応じて補うことが望ましいと言えます。タンパク源を何にするかだけでなく、その周りにある「楽しみの食品」との付き合い方まで含めて見直すことが、無理のない食の改善につながりそうです。

出典

論文タイトル: Discretionary foods have notable environmental and expenditure relevance across meat and plant protein preferences

著者: Jelena Meinilä ほか

掲載誌: npj Science of Food(2026年1月公開)

DOI: 10.1038/s41538-026-00721-x

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