10代の腰痛が「成長痛」で片づけられていた

診断まで半年、手術まで1年かかった若年性椎間板ヘルニア21人の記録

調査レポート
10代の腰痛が「成長痛」で片づけられていた——診断まで半年、手術まで1年かかった若年性椎間板ヘルニア21人の記録

椎間板ヘルニアは中高年の病気、という印象をお持ちの方が多いかもしれません。ところが10代にも起こります。ノルウェーのオスロ大学病院が過去10年分の手術例を振り返ったところ、症状が出てから診断がつくまでに驚くほど時間がかかっていた実態が明らかになりました。

10年間でわずか21人、しかし全員が長く待たされていた

研究チームは2015年1月から2025年7月までに、18歳未満で腰椎椎間板ヘルニアの顕微鏡下手術(顕微鏡下椎間板切除術)を受けた患者21人を対象に、診療記録をさかのぼって調べました。手術時の平均年齢は14.6歳(範囲9〜17歳)で、女子が57.1%を占めました。

症状は全員が腰痛を訴え、95.2%が脚への放散痛を伴っていました。38.1%に感覚の異常、28.6%に筋力の低下が認められています。

注目されたのは、そこに至るまでの時間です。症状が始まってから最初のMRI検査までが中央値で6か月、脳神経外科医の診察までが9か月、手術までが12か月(最長36か月)かかっていました。成人での手術までの待機期間は中央値21週(およそ5か月)と報告されており、子どもではその倍以上の時間が経過していたことになります。

論文の考察では、遅れの理由として、保護者が腰や脚の痛みを筋肉痛や「成長痛」と受け止めやすいこと、この年代ではまれな病気のため一般の医師が診断候補として思い浮かべにくいこと、発育途中の背骨への影響を避けようと保存療法が長引きやすいことが挙げられています。

手術後3か月で、ほぼ全員が回復していた

一方で、手術の成績は良好でした。3か月後の時点で95.2%が腰痛の明らかな改善を報告し、脚の放散痛については全員が改善しています。手術前に筋力低下があった6人も全員が改善しました。3か月後には全員が終日の登校に戻り、日常生活に支障はなくなっていました。スポーツをしていた15人のうち6人(40%)は、3か月で練習に復帰しています。

成人では手術までの待機が長いほど長期成績が悪くなると報告されていますが、今回の子どもたちでは、待たされた期間の長さが短期の回復を損なってはいませんでした。研究チームは、子どもの椎間板は変性が少なく軟らかい成分が主体であるため、時間の影響を受けにくい可能性を指摘しています。ただし21人の後ろ向き調査であり、追跡期間も3か月と短いため、「発見が遅れても構わない」と読み替えることはできません。

背景要因としては、71.4%がサッカーやハンドボール、体操といった組織的なスポーツに参加しており、その多くが腰への衝撃が大きい競技でした。28.6%はBMIが25を超え、9.5%に側弯症、14.3%に発症前の外傷歴がありました。健康な同年代との比較対照群がないため因果関係は言えませんが、発育期の腰への繰り返しの負荷が関与している可能性が示唆されています。

日常生活への示唆

この研究から、中学生・高校生のお子さんについて次のことが言えます。腰痛が数週間以上続く場合、とくにお尻から脚にかけての痛みやしびれ、力の入りにくさを伴う場合は、成長痛やスポーツによる筋肉痛と決めつけずに整形外科を受診することをお勧めします。今回の21人は全員が腰痛を訴え、ほぼ全員に脚の症状がありました。

腰への衝撃が大きい競技を続けているお子さんでは、痛みを我慢して練習を続けないことも大切です。また、排尿や排便の異常、あるいは進行する筋力低下がある場合は、緊急性が高い状態であり、早急な受診が必要と考えられます。

まれな病気だからこそ、まず疑うことが診断への第一歩になると言えます。

出典

論文タイトル: Juvenile lumbar disc herniation: impact of delayed diagnosis and surgical treatment on outcome in a 10-year single-center series 著者: Christina Høstmælingen, Jarle Sundseth, Anna Latysheva, Radek Frič 掲載誌: Acta Neurochirurgica(2026年6月17日公開) DOI: 10.1007/s00701-026-06956-7

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