食物繊維をとった日の夜は、深い眠りが増えていた

4,793夜のウェアラブル記録が捉えた「食事と睡眠」の即日効果

調査レポート
食物繊維をとった日の夜は、深い眠りが増えていた——4,793夜のウェアラブル記録が捉えた「食事と睡眠」の即日効果

眠りの質を上げたいとき、多くの人が寝る時刻や寝室の環境を思い浮かべます。しかし、その夜の眠りは、実はその日に何を食べたかによってすでに左右されているのかもしれません。Nature Healthに2026年8月19日付で掲載された研究は、日々の食事記録とウェアラブルの睡眠記録を突き合わせ、食物繊維を多くとった日ほど深い眠りとレム睡眠が増えていたことを報告しています。

研究の概要

研究チームは、イスラエルの大規模健康コホートであるHuman Phenotype Project(HPP)のデータを用い、延べ4,793人夜分の記録を解析しました。参加者は食べたものをその都度リアルタイムで記録し、同時にウェアラブル端末が睡眠段階(深睡眠・レム睡眠・浅睡眠)と夜間の心拍数を測定しています。アンケートで「よく眠れたか」を尋ねるのではなく、実際の睡眠構造を機器で捉えている点が、この研究の特徴と言えます。

解析では、前日の食事と睡眠の状態をあらかじめ調整したうえで、その日の食事内容と同じ夜の睡眠との関係を推定する手法が用いられました。ふだん食べる量が多い人と少ない人を比べる研究とは異なり、同じ人の日ごとの揺らぎに注目している点が重要です。

何がわかったか

最も一貫した関連が見られたのは、食物繊維でした。食物繊維の密度が高い日は、深睡眠が0.59ポイント、レム睡眠が0.76ポイント増え、浅い眠りが1.35ポイント減っていました。あわせて夜間の平均心拍数も1.14拍毎分低くなっていたと報告されています。心拍数が下がることは、夜のあいだ自律神経が休息側に傾いていることを示す指標として使われます。

野菜や果物などの植物性食品を何種類食べたかという多様性、および加工度の低い植物性食品の摂取量も、夜間心拍数の低下と関連していました。植物由来成分の指標であるDietary Phytochemical Indexが高い日にも、レム睡眠の増加と心拍数の低下が見られています。

一方、食事の時間帯は睡眠の長さと自律神経に影響していました。就寝前6時間に一日のエネルギーを多く詰め込んだ日は、総睡眠時間が7.7分長くなる代わりに、夜間心拍数が0.73拍毎分高くなっていました。長く眠れても、体は休みきれていない可能性が示唆されます。

なお、三大栄養素のエネルギー比率やビタミン・ミネラルの摂取量については、多重比較の補正後に確かな関連は残りませんでした。「何をどれだけ食べたか」よりも、食事全体が植物寄りかどうか、そしていつ食べたかのほうが、その夜の眠りに効いていた形です。

明日からできること

この研究は観察データにもとづく解析であり、食物繊維を増やせば必ず眠りが深くなると証明したものではありません。効果の大きさも、深睡眠で0.59ポイントと、体感できるほど大きな差ではない点は押さえておく必要があります。

それでも、試す価値のある示唆は明確です。まず、豆類・全粒穀物・野菜・果物といった食物繊維源を、夕食までのどこかで一品増やしてみることです。この研究が見ているのは長年の食習慣ではなく「その日一日」の選択なので、今日から結果が変わりうる話になります。

もう一つは、夕食に一日の食事を寄せすぎないことです。夜遅くにまとめて食べると眠りが長くはなりますが、心拍数が上がっており、休息の質という点では割に合いません。昼にしっかり食べて夜を軽くする配分のほうが、体は夜間に休みやすいと考えられます。

眠りを整える手段として、寝る前の行動だけでなく、日中の食卓も選択肢に入れてよさそうです。

出典

論文タイトル: Impact of daily diet on sleep quality 著者: Mariya Shkolnik, Gal Sapir, Smadar Shilo, Yeela Talmor-Barkan, Eran Segal, Hagai Rossman 掲載誌: Nature Health 公開日: 2026年8月19日 DOI: 10.1038/s44360-026-00182-2 URL: https://www.nature.com/articles/s44360-026-00182-2

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