年齢が同じでも、体の老け方には個人差があります。米国の大規模研究で、市販のスマートウォッチ(Fitbit)が記録した1日の活動リズムが、血液検査から推定した「生物学的年齢」の進み方と関係していることが示されました。毎日身につけている機器が、老化の目安になりうることを示唆する研究です。
研究の概要
この研究は、米国の大規模コホート「All of Us Research Program」の参加者のうち、Fitbitの活動データと複数回の血液検査データがそろった2,222人(延べ8,447人年)を対象にしています。平均の追跡期間は6.84年でした。
生物学的年齢には「PhenoAge」という指標が使われました。これはアルブミン、クレアチニン、CRP(炎症の指標)、血糖、白血球数など9つの臨床検査値と実年齢から算出するもので、死亡リスクの予測に基づいています。PhenoAgeが実年齢から予想される値より高い人を「速く老化している人」と分類しました。
研究チームは、Fitbitの歩数データから24時間の活動パターンを解析し、リズムの「強さ」(日中にしっかり動き、夜はしっかり休むメリハリ)、「タイミング」(活動のピークが何時ごろか)、「規則性」(毎日同じリズムで過ごしているか)を数値化しました。
主な結果は次のとおりです。
- 開始時点で、速く老化している人と遅く老化している人の実年齢はほぼ同じ(61.1歳と60.2歳)でしたが、生物学的年齢は66.4歳と54.3歳で、大きな差がありました
- 速く老化している人は、日中の活動量が少なく、夜中の0時から6時の活動が多い傾向がありました
- 経時的な解析では、リズムの強さに関わる指標が高まるほど、速く老化している状態になるオッズが26〜46%低いという関連が示されました
- 活動のピーク時刻が遅い人は、速く老化している状態になるオッズが22%高いという関連がみられました
- 女性では、タイミングや規則性との関連がより強く出ました。男性では、早朝と夜遅くに活動が二つの山になるパターンが速い老化と関連していました
同じ人の中でリズムの強さが高まった時期には、生物学的年齢の進みが遅くなるという関連も確認されています。中強度以上の運動時間や睡眠の指標で調整しても、関連の一部しか弱まりませんでした。単に「よく動く人ほど若い」というだけでなく、1日のリズムの形そのものに意味がある可能性が示されています。
日常生活への示唆
この結果から考えられるのは、日中にしっかり体を動かし、夜は活動を控えて休むという、メリハリのある1日の過ごし方を大切にすることです。朝の光を浴びて日中に活動し、夜更かしで活動のピークが遅くならないようにすることは、取り入れやすい工夫と言えます。
スマートウォッチやスマートフォンの記録を見返し、歩数の合計だけでなく、何時ごろに動いているか、日によってリズムが大きく乱れていないかに目を向けるのもよいでしょう。
ただし、これは観察研究であり、リズムを整えれば老化が遅くなるという因果関係を示したものではありません。体調が悪いために活動リズムが崩れている、という逆の向きの関係も否定できないと著者らは述べています。また、参加者は自分の機器を持ち込んだ人で、教育歴の高い白人女性が多く、全国平均より活動的な集団でした。日本人にそのまま当てはまるかは、今後の検証が必要です。夜勤など生活リズムを自分で選べない方は、無理をせず、気になる症状があれば医師に相談してください。
出典
論文タイトル: Longitudinal digital phenotyping of activity rhythms and biological aging using commercial wearables 著者: Jinjoo Shim, Jukka-Pekka Onnela 掲載誌: Nature Communications 公開日: 2026年8月22日 DOI: 10.1038/s41467-026-76147-6 URL: https://www.nature.com/articles/s41467-026-76147-6
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